要点

RAG は Retrieval-Augmented Generation の略で、AI が回答を作る前に、指定された文書群から関連情報を検索する仕組みです。業務で重要なのは、AI がもっともらしい文章を作ることではなく、どの文書を根拠にしたのかを確認できることです。

日本政府の GENAI 関連資料でも、RAG 型行政アプリケーションが示されています。これは、行政文書や制度情報のように、根拠と更新日が重要な領域で特に意味があります。

RAG が必要になる場面

規程、申請要項、補助金資料、会議録、契約文書、SOP などは、一般的な AI モデルだけでは正確に答えられません。最新版、対象範囲、例外条件、担当部署が組織ごとに違うからです。

RAG を使うと、回答の根拠文書を限定できます。ただし、RAG を入れれば自動的に正しくなるわけではありません。文書の品質、分割方法、検索クエリ、メタデータ、権限設計が回答品質を左右します。

文書検索システムとしての設計

RAG は AI 機能である前に、文書検索システムです。まず、検索対象を決めます。次に、文書を適切な単位で分割し、タイトル、部署、日付、版、公開範囲などのメタデータを付けます。

回答画面では、引用元、該当箇所、更新日を表示します。さらに、回答を利用したか、差し戻したか、どの文書が足りなかったかを記録すると、ナレッジベースを継続的に改善できます。

失敗しやすいポイント

よくある失敗は、古い文書と新しい文書を同じ重みで入れること、機密文書を権限なしで検索対象にすること、引用があっても文書の版を確認しないことです。RAG は回答の見た目より、裏側の情報整理が重要です。

KirokuFlow の RAG 導入単位

KirokuFlow では、最初に一つの業務に絞ります。例えば「経費精算 FAQ」「研究費要項検索」「社内 SOP 検索」「会議録検索」などです。限定範囲で精度と運用を確認し、権限、レビュー、ログを整えてから拡張します。

FAQ

RAG は検索エンジンと何が違いますか。

検索エンジンは文書を探す仕組みで、RAG は検索した文書を根拠に回答を生成します。ただし、根拠確認は必ず必要です。

RAG を導入すれば幻覚はなくなりますか。

完全にはなくなりません。検索対象が不十分だったり、文書が古かったり、質問が曖昧だったりすると誤回答は起きます。

主要引用元

  • Digital Agency, Government of Japan. “Government AI GENAI.” 2026-05-29. https://www.digital.go.jp/en/policies/genai
  • Digital Agency, Government of Japan. “Launch of Large-Scale Pilot Project of Government AI GENNAI targeting 180,000 Employees.” 2026-03-06; updated 2026-03-13. https://www.digital.go.jp/en/news/2d69c287-2897-46d8-a28f-ea5a1fc9bce9
  • Digital Agency, Government of Japan. “Release of Government AI GENAI as Open Source Software (OSS).” 2026-04-24. https://www.digital.go.jp/en/news/907c8e5d-2f4f-4bd7-9400-37c9f4221d7d
  • U.S. Office of Management and Budget. “M-24-10: Advancing Governance, Innovation, and Risk Management for Agency Use of Artificial Intelligence.” 2024-03-28. https://www.whitehouse.gov/wp-content/uploads/2024/03/M-24-10-Advancing-Governance-Innovation-and-Risk-Management-for-Agency-Use-of-Artificial-Intelligence.pdf
  • NIST. “Artificial Intelligence Risk Management Framework (AI RMF 1.0).” 2023-01. https://nvlpubs.nist.gov/nistpubs/ai/nist.ai.100-1.pdf
  • ISO. “ISO/IEC 42001:2023 Artificial intelligence — Management system.” 2023. https://www.iso.org/standard/42001